Contents
成功しているアメリカ企業の8つの要因
社員全員の関与・確約(コミットメント)が必要
■行動の重視
■顧客に密着する
■自主性と企業家精神
■人を通じての生産性向上
■価値観に基づく実践
■基盤から離れない
■単純な組織・小さな本社
■厳しさと穏やかさの両面を同時に持つ
とにかくやる
顧客志向、顧客サービス
リスク・テイキングと創造性
権限を与え、行動させる
人とビジョンを前面に出したマネジメント
最高のことをすること、常に改善を心がけること
整然とした組織構造
ラインに対する責任と説明の徹底
迅速な行動、顧客へのサービス、実効性のあるイノベーションの実現こそが重要である。しかし、こうしたことは、社員全員の関与・確約(コミットメント)なしには、決して実現されないのである。
トヨタ生産方式の本質と展開のポイント
トヨタ生産方式は、手法というよりも考え方・思想に近い。この考え方・思想を理解すれば、製造部門だけでなくあらゆる部門を効率化できるのである。今回はそのポイントを簡単に説明する。
1.ムダを知る
ムダとは、目的より手段が大きいことをいう。10の力でできる仕事を12の力を費やしていれば、2の力がムダとなる。生産活動で発生するこのようなムダを見えるようにした上で、このムダを徹底的に取り除く改善活動を行い、原価低減を図ることが管理・監督者の仕事である。トヨタ生産方式では、生産現場で発生するムダを7つのムダに分類している。
- つくりすぎのムダ
- 手待ちのムダ
- 運搬のムダ
- 加工そのもののムダ
- 動作のムダ
- 不良をつくるムダ
- 在庫のムダ
この中で特に(1)のつくりすぎのムダを重視している。つくりすぎて在庫が過大になると、さまざまな問題点を隠してしまうからである。経営者・幹部としては、自社の在庫が過大かどうかをまず判断して欲しい。
そのための経営数値としては、在庫保有日数である。在庫回転率で見る会社を見受けられるが、保有日数で見ている会社はあまりない。
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在庫保有日数は3つあり、
- 材料在庫保有日数=材料在庫÷月間材料費×30
- 仕掛品在庫保有日数=仕掛在庫÷仕掛原価×30
- 製品在庫保有日数=製品在庫÷売上原価×30
一度自社の数値を把握していただければと思う。
2.在庫削減で根本の問題点を顕在化させる。
在庫削減を行った場合、設備の故障や不良などの異常が発生すると、在庫がないために作業がストップしてしまう。そうすると、問題点が顕在化するので、根本的な改善策が徹底的に実行できるようになるのである。
在庫費用は、在庫の約15~20%が年間でかかっているといわれる。
1億円の在庫があれば、約2,000万円。これを半減するだけで約1,000万円のコストダウンとなる。経営者・経営幹部はこのことに早く気づき、実行すべきである。
トヨタ生産方式は、その活用の仕方で魔法の杖にもなるし、会社を混乱させる道具にもなる。その本質を十分理解していただき、自社の経営に役立てていただきたい。
SPAとは
SPAとは、「SpecialityStore retailer of Private label Apparel」の略で、近年は製造小売業と訳されることが多い。「無印良品」の良品計画、「ユニクロ」など、アパレル業界 を中心に、多くの企業がSPAに取り組んでいる。
その背景には
ファッション性が高い商品は寿命が短く、デザインや価格などによって売行きが大きく変わるため、売上予測が立てにくいことがある。そのためSPAという情報武装化を軸に従来の経営手法を変革し、顧客志向の商品をタイムリーに、良いデザインで、リーズナブルな価格で提供する仕組みを構築した。
SPAのメリット
- 需要に対応できること
需要予測と生産計画を立てて生産を進め、実際の売上げとのギャップを分析するため、需要予測の精度を高めていくことが可能であり、在庫の圧縮を実現できる。 - 中間マージンを圧縮し、低価格販売を行うことができる
生産から販売までを自社で行うため、製造過程や物流過程における中間マージンを圧縮できる。
ビジネスモデルのキーポイント=[スピード]
「顧客満足CS」優先か、「社員満足ES」優先か
顧客満足は顧客の自社に対する信用で決まる。
社員満足は社員の会社に対する信用で決まる。
どちらも信用、すなわち「信頼関係」で成り立つという点で共通する。
顧客、社員も同じ人間。人間同士の「信頼関係の構築」を第一とする。
仲間や顧客と隔たりなくサービス精神を発揮させることで、すべての人間を満足させる。「CSか、ESか」ではない。「CSも、ESも」である。社員の業績評価も大事だが、社員同士の評価も大切な指標だ。
ゲーム的要素を持たせた社内表彰・特典システムの構築で、"人間満足"経営を目指そう。
万年赤字から単月黒字化へ
万年赤字から単月黒字化を果たした紙器メーカーの「復活プロセス」を紹介しよう。
1."合理的脅迫"で人を動かす
あるベテラン社員は毎日外出していたが、「忙しい」と言うばかりでどこへ行っているのか全く分からなかった。そこで社長は彼の1カ月間の訪問件数を、得意先の成長性と自社への貢献度という観点から次のように分析した。
- 行かねばならない先(貢献度、成長性が高い)...12件
- あまり行かなくてもいい先(貢献度、成長性は平均並)...57件
- 行かなくてもいい先(貢献度、成長性が低い)...23件
そこで社長は行かなくてもいい先より、行くべき得意先や新規見込み先への訪問を優先するよう指示した。理屈では動かないベテラン社員も、分析結果を見て何も言えなくなり指示に従わざるを得なくなった。
2.使うべき金を予算化し、使わせる意識 改革でその気にさせる
"アイデア商品"を多く立ち上げることが必要だと考えた社長は、開発ミーティングを立ち上げて開発フローを型決めし、サンプル商品への投資を月ごとに予算化して、営業部隊へ必ず消化するように大号令を出した。
予算を決められた以上、営業社員は使わねばならない。開発ネタを上げざるを得ない仕組みを作ったわけだ。
3.営業の素人が営業を変える
責任者を社長とする「新規開拓専任室」を立ち上げ、営業部門から2名、製造部門から1名(新卒1年目)を専任とした。製造部員は営業経験がなく、固定概念が全くなかったために次々と斬新なアイデアを出し、顧客を開拓していった。
このように生産部門の若手部員を新規開拓チームへ異動させるという、従来の非常識を常識とする仕掛けによって顧客数を増やすことに成功した。
人にいかに動いてもらい、どのように動かしていくかが、組織を万年赤字から単月黒字化へと向かわせるポイントとなったのである。
「顧客満足CS」向上のための具体策づくり
1.CSアンケート調査
CS向上には、まず「お客さまの声」が原点となる
★お客さまの満足のポイント
★現状感じている不満は何かということを知る必要がある。
【顧客満足度調査のメリット】
- 調査表を郵送し記入してもらうため、面と向かって言えない不満を知る事ができる
- CS向上に取り組もうとしている意思を、相手に伝えることができる
- 低コストで実施でき、明確な改善具体策を立てることができる
★調査後はすぐに対応し、改善する必要がある。
★最低でも年に1回はアンケート調査を継続実施し、過去の結果と比較検証を行い、改善を続けねばならない。
2.ミステリーショッパー(覆面調査)
「ミステリーショッパー調査」とは、外部の専門調査員や一般消費者に依頼して、お客さまの立場から実際にサービスや対応ぶりを体験してもらい、現場における改善課題を明らかにしようとするものである。
【覆面調査のメリット】
- 好調なライバル店と比較し、自社に欠けているもの(品揃え、商品知識、販促物など)を拾い出せる
- 自分たちでは「できている」と思っていたサービスが、顧客の立場から見ると全然できていないことを洗い出せる
お客さまの声を反映させたCS向上の具体策を立てていただきたい
ピグマリオン効果で業績アップ
「ピグマリオン効果」とは
「期待すれば、相手はその期待に応えようと行動する」心理現象のことである。繰り返して期待をかけ、本人の成長を促すこと。
上司の部下に対する期待
部下を奮起させ、部下の行動を変える効果がある。
上司の持つ期待を部下へ分かり易く伝えるポイント
- 部下が良い結果を出した時は、少しオーバーな態度と行動でほめる。
- ほめる時には、部下の「努力」に重点をおく。
- 部下が失敗した時は、経験やヒントを与えて指導する。
- 指導する時には、その原因が能力不足ではなく、「努力不足」であると部下が考えるように指導する。
- 常に「アクティブ・リスニング」(積極的に傾聴する姿勢)で部下とのコミュニケーションを図る。
上司は部下に対する期待を素直に伝える能力を身に付け、部下を動かそう!
企業経営の羅針盤「経営方針書」
経営者・幹部のマネジメントは、日、週、月、四半期で計画通り実行されているかどうかを日常的にチェックし、計画と実績にズレがある場合は原因を究明し、軌道を修正することにある。年間の目標、行動指針を記述した『経営方針書』はまさに企業経営の羅針盤と言えよう。
方針書の内容
- 新年度スタートに当たって(あいさつ)
- 経営理念、社是、スローガン
- 社員実践訓、幹部心得
- 前年度の反省
- 会社の基本方針
- 中期ビジョン・計画
- 年度計画
- 部門方針・計画
- 年間行事スケジュール
方針書を徹底するポイント
- 決定事項は当日中に全メンバーに連絡する。口頭より書面。
- メンバーが理解しているか否か復唱させる、全員で読み合わせる。
- 即、行動を起こさせる。今大切なことは諭し、理解させることよりも、行動を変えさせることである。
- 実行させた第1日目に行動の結果を報告させる。2日目以降も同じく結果報告させる。
- 1週間で明らかに行動を変えさせることである。1週間で変えさせることができたか否かが方針徹底の一番のポイントとなる。
- 評価をする。良かったことを即全員に伝える。行動を善循環に持っていくためには、悪い点を指摘するよりも、良い点を誉めることである。
得意先訪問調査
ポイント⇒『その企業の問題の本質を知ること』
得意先満足度の調査項目
- 取引の経緯
- クライアントの強み・弱み
- QCDS対応(品質・コスト・納期・サービス)
- 営業担当者の姿勢
- 得意先から見た伸びるポイント
- その他要望
第三者による訪問調査が重要
- 得意先担当者は、クライアント営業担当者との人間関係が構築されている場合がほとんどであり、小さいクレーム・要望については露骨に言わないケースが多い。それらをインタビューによって引き出していく。
- 第三者に訪問させてまで、評価を聞こうとする経営姿勢を素直に評価している。また、得意先への訪問によって見えてくるのは、クライアント企業の真の姿だけではなく、戦略・ビジョンといったものまでが見えてくる。
- 答えは現場にしかない。迷ったら現場へ行く。
- プロダクト・アウトからマーケット・インへ発想を転換するこが大切である。