困ったときに考える業務のヒント

使えないマニュアル・使わないマニュアル

マニュアルの存在価値は、『標準化・平準化』のためのひとつのツールである。

使えない、使わないマニュアルは意味を成さない。では、何が良くないのだろうか。

1.視線が高い

マニュアルを使う側の社員の皆さんに伺うと、『わかりにくく、実際の業務とズレを感じる』という声が大半である。換言すれば『マニュアルの視線が高すぎる』のである。
使わせる側に聞いてみると、課長、部長といった幹部社員が作成しているがゆえに、『これ位は書かなくてもわかるだろう』という箇所を、全て端折っている。経験値の低い社員には『これ位』の箇所が生命線である。この部分をのりこえられずに挫折を味わう社員は多い。

2.方針・目標と連動していない

方針・目標は毎年変えているにも関わらず、動きを示唆するマニュアルは連動せず変わらない。 例えば、業務処理の生産性指標や営業の活動基準を変えた時など、それに連動したマニュアルに変えなければ、トップが望む行動にはなかなか結びつかない。それは現場=お客様に近い場所になればなるほどかけ離れてくる。
マニュアル作りも社員教育に威力を発揮する。とくに経験値の低い社員が作成すると業界・商品の勉強にもなり、初心者にも優しい、きめ細かいマニュアルができる。幹部がそれにアドバイスを与えることで、より実践的な指導ができる。

マニュアルを使いこなし、業績を上げ、それを評価され、分配に連動して初めて、社員はその存在価値と威力を認識する。今一度、目次から見直されてはいかがでしょうか。

回らないPDCA

PDCAが回らない要因は大きく分けて2つある。それはプランとチェックの段階に潜んでいる。

プランの段階での要因

「だいたい80%達成した」「ほぼ計画どおりできた」といった表現では、受け取り方はバラバラになる。正しくチェックするためには極力、数値化することが必要だ。達成率をコンマ以下のパーセントで表現できていれば、10人でチェックしても100人でチェックしても結果の認識は同じであるはずだ。

チェックの段階での要因

そもそもチェックの場がないというケースがある。またはチェックの場はあるものの、実際には結果確認のみで、正しいチェックになっていないということもある。

対応策は? 

計画に対する差異を認識し、差異を埋めるために「誰が、いつまでに、何をするのか」を決定することが重要である。会議やミーティング、日常の報告・連絡・相談がチェックのための手段である。

会議を見直す

5匹の鬼をテーマに各々の着眼点を再度整理して、マネジメントのヒントに供したい。

1.「塊」(ターゲットとする客層というかたまりの決定)

団塊世代、そのジュニア、元気シニア、ミドル、ギャルなどの生活者の層、また大手、中堅、中小、零細などの規模別法人層や業種別の区分け。さらにアジア、中国、インド、都道府県などのエリア別もある。

2.「魅」(ターゲットに訴求する自社の魅力ポイントづくり)

品質、納期、価格、機能、効用、サービス、システム、人材などの要素を磨きながら、他社との違いを打ち出す力点を決め再構築する。

3.「魂」(トップやリーダーが迷わぬ魂を込める)

上層部に迷いがあれば、チームパワーを発揮できない。不退転で臨めるように、現状認識力と判断力を高めながら全エネルギーを集中させる。

4.「醜」(社会に背く醜い行為を防止する)

法律、ルール、マナーを守り、守らせる公明正大な風土を培っていく。 「法律は守るのが当たり前」という考えを浸透させ続ける

5.「魁」(他社にさきがけて着手し成功させる)

前例がないことに挑戦する勇気を持つ。成熟・衰退傾向を打破する「需要創造」への飽くなきフロンティア・スピリッツを奮い起こす。不便、不安、不快などの「不」に目を向けることで潜在ニーズ、ビジネスチャンスを発見できる。そして、すでに伸びている分野や新技術を自社に結合させることだ。

お客様を知り客数を伸ばせ

小売業において売上高=客数×客単価という公式


客数×客単価どちらを優先すべきか

客数である

小売業のみならず全てのビジネスの原点は客数にあるのではないだろうか。
利益はお客様からによってのみもたらされるということは自明の理となっている。

損益分岐点客数

  1. 自社の存続のために必要な客数は何人なのか
  2. 何人のお客様の支持が必要なのか
  3. 今日は何人のお客様の要望(ニーズ)に応えることが出来たのか
  4. お客様の支持を得られていない原因は何か

全ての資料・フォーマットは「お客様を知る」という視点で作成されていなければならない。
大切なのは、自社の存続に必要なお客様の支持数は何人なのかをつかんで、日々の活動の中心に「お客様の視点」で考える習慣を身につけることにある。

どうなる?どうする?今が実力

自社を取り巻く環境変化が大きく変化している昨今、打開策を考える際、まず自社の正しい現状認識が必要である。

なぜ赤字なのか?
原因は自社の商品・サービスの価値が顧客に受け入れられていないと考えること。
不景気で倒産する会社は世の中に1社もない。倒産するのは自社を取り巻く環境変化に対応できない会社であり、原因は会社の内部にある。

ではその原因は何か?

1.強みが陳腐化している会社には必ず他社にはない持ち味・強みがある。

圧倒的なものでなくとも他社と比較して優れている点である。
ただし過去の取り組みにしがみつき、進化させる努力がなくては、その他大勢の中の「価格競争」にあっという間に埋没してしまう。
「価格より価値」という土俵で勝負するためにも、磨くべき持ち味・強みをこの機会に社内で明確にすることだ。

2.弱みを磨く

従来からある強みだけで勝負できるほど、激変する環境変化は甘くない。
顧客により高いレベルアップを期待されている弱みを鍛える努力を怠ってはならない。
例えば、顧客からの要望への対応力が優れている場合、中小企業の営業現場では「呼ばれたら来る」とか「毎日訪問してる」といった基本的な日常業務活動だけでの優位性では、差別化は難しい。
訪問頻度より情報発信・提案力を求められている。
これらの全社的なバックアップ体制・底上げが必要だ。

3.開拓・開発に取り組む需要予測をする

「もしこのままでいけば」という仮説を立て、業績の不足は何らかの取り組みで補わなければならない。今後どうなるのか?それに対してどうするのか? 今や成り行きだけでのオーダーやたまたま買う顧客は存在しない。本物しか生き残れない今が自社の実力と考えれば、必要な顧客数・受注量・販売高はどの程度か。そのように考えれば、新しい商品・サービス・取り組みの必要性が明確になる。

先行管理とスピード感

もし赤字体質であるなら、それを生み出している原因は何か?早期にその根本要因を見極め、改善していくことが重要になってくる。

原因
「先行で物事を考える力」に欠け、「スピード感がない」ことがほとんどである。

「先行で物事を考える力」とは、仕事のPDCAサイクルを回す意味において、来るべき業務量を考え、それを時間内に効率的に仕上げるのに必須の能力である。仕事の基本とも言えよう。

したがって会議ひとつにしても、その開催目的を考えるなら討議事項を決めたり、資料作成などが必要となる。その段取りを考えた場合、自然と毎月の開催時期が型決めされてくるはずである。

それが欠けているということは、組織全体が先行で物事を考える力が身についていないということであり、仕事のリズムが作れず、自然とスピードが遅くなってくるのである。

営業現場においては、攻めと守りの時間配分などのバランスが崩れるし、生産現場では生産計画を立てることができない。内部管理者においては、ムダ・ムラ・ムリが発生し、期限までに業務を仕上げていくことができなくなる。

※仕事の基本である「先行管理力」と「スピードある行動」をもって、黒字体質でこの難局を乗り切ろう!

定時・定点で空間を切る

一度来ていただいた方をリピーターや口コミで周りに宣伝していただけるようなお客様になっていただけるかが、成功の大きな分岐点である。
お客様はハードとソフトの両方を厳しく検証する。

教訓『定時・定点チェック』
『開店から閉店まで同じ品質でお客様を迎え、サービスを受けて(または商品を購入して)帰っていただく』ことに尽きる。

店舗は時間の流れと共に状況が刻々と変わる。変化のスピードについていけないと店の外も中も荒れ、その荒れた状況をお客様は敏感に察知する。
定時・定点観測は、『いつ・どこに立ち・何を見て・判定し・その場、その時点で対処しきること』である。決してチェックリストに従いチェックするだけのことではない。長い時間をかけて行うことはできないので、店の時間を切り取る必要がある。

お勧めする取り組みは『5分で20個以上の"異常"を見つけることができるか』というチェックである

これを毎日、定時に決めて行う。『何をチェックするのか、どの場所に立つか』ということを検証する過程で、しだいにお客様の視点に立つことができる。それはお客様に指摘された内容を、素直に再確認する行為に他ならない。

このように原点に立ち返ってこだわり抜くことで、お客様を固定ファンにできた店や業績が上がった店が増えている。

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