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リーダーシップの取れない幹部に未来はない?
<事例:年商約68億円、社員数約110人の卸売業A社>
B部長が就任した事業部は大赤字であり、部下全員が目標から逃げ、モチチベーションが低下していた。また会社のお荷物的な事業部であり、社長ですら「B部長でダメなら撤退しようか」と考えている状態であった。
B部長は現状を把握するため、部下全員と個別面談を行なった。部下から出てくる不平不満や愚痴の多さ、モチベーションの低さに驚きつつも、どこに問題の本質があるのか、なぜ赤字になっているのかを、事業部のデータなども分析しながら隈なく探した。
次に部下全員を集め、現状とあるべき姿のギャップ、また赤字脱却のために何をしなければならないのかをわかりやすく説明し、改善策を出した。
改善策には担当と期限が明確にされており、一つひとつ説明した後、頭を下げて協力を仰いだ。また、すべての情報をB部長に集まるようにするため、報・連・相(報告・連絡・相談)を部下に徹底させた。
「ピンチから逃げ出さなければ必ずチャンスになる」という信念のもと、B部長は「今、何が大切か」を常に考えながら的確に指示を出し、自ら率先垂範で部下に行動を示したのである。
そして1年後、数十万円ではあったが利益を出し、黒字を達成したのである。
B部長が逃げずに行なったことをまとめると、以下のとおりになる。
決めたことが実行されていない場合や、仕事から逃げた時には鬼になる一方、新規受注や単月の目標をクリアした時には仏のようにやさしくなり、部下と一緒に喜んだ。叱ると褒めるとをうまく織り交ぜながら、目的や目標に直面し、現実から逃げない体質をつくっていった。
1.トップの方針を理解(なぜ、自分がこの事業部を任せられたのか)
2.現状認識(問題の本質はどこにあるのか、第一ボタンを掛け違えないよう徹底的に分析)
3.改善策の発表(自らの事業部方針を立てた)
4.報・連・相の徹底を行なった(今、何が大切なのかを的確に判断するため。報告してこない部下には何度も何度も呼び出し報告させた)
5.率先垂範で部下に示した(ピンチから逃げない体質づくり)
"自分にも厳しく、部下には愛情をもって厳しく"を心がけることが大事なのである。リーダーシップの取れない幹部に未来はないであろう。
形骸化した会議では企業成長はない?
「ただ開催しただけで、決定事項も何もない」という形骸化した会議
企業の成長はない
参加者全員が本当の意味で参加、検討できる会議に生まれ変わるには
1.会議資料は事前配布
各部門の持ち時間を10分とし、そのうち報告時間は2分のみである。
前月の反省点から今月実施することを報告する。参加した各メンバー全員から意見やアドバイスを受ける。
会議資料は事前に配布し、会議前に報告書を熟読してもらう。これにより各部門の成功事例や失敗事例が共有化でき、他部門との連携も強化される。
2.改善提案を会議に取り入れる
全社員に毎月、業務改善の提案を出してもらう。各部門会議で、「どの提案事項を経営会議に提出するか」を検討する。部門内の活性化につながり、常に改善することを考える風土ができる。
経営会議では各部門の提案事項から、
- (1)顧客満足向上
- (2)業務効率化・コストダウン
- (3)社員満足
という3つのカテゴリーで、お客さま・会社・社員がより進化できるものを決定する。最優秀案は社内発表し、提案者本人はそれを誇りに思い、新たな提案へのモチベーションにつながっていく。社員から提出された提案事項は幹部陣が全て確認し、10日以内に返答する事が一番重要。
あなたの会社の羅針盤は?
『業績資料』が会社の羅針盤になるには
いくら資料を取り揃えても、肝心な業績が一目で分かるようになっていなければ意味がない。大切なことは情報の量や速さではなく、見せ方である。
例えば、年商90億円の化学薬品メーカーB社は、自社のコスト構造を
総資本経常利益率
⇒売上高経常利益率・総資本回転率
⇒固定費・限界利益率
に分解して、コントロールしている。各部門においてはキーとなる指標を設定し(例:営業における1人当たり粗利益高)、現場で分かる指標に落とし込んで生産性指標として管理している。
この時、注意しなければならないのは、現場指標が上がれば、必ず会社全体の損益が変わる状態に設定することである。
年商40億円の住宅メーカーC社では、1枚のシートを見れば自社の経営状態が分かるように工夫している。中身についても、数字を単純に並べるだけでなく、できるだけグラフ化して直感的に理解できる状態にしている。
"経営の羅針盤"として舵取りができるように、常に分かりやすく、判断できる状態にしておく必要がある。自社の状態を聞かれた時、即座に答えられる環境をつくることが、業績改善への第一歩となります。
企業の背骨はしっかりしているか?
効率的に経営をしていく基礎であり、経営体質強化に必要不可欠な条件とは
- 経営理念
- 行動指針
- 長期ビジョン
- 中期経営計画
- 年度方針
- 年度予算
背骨がきちんと定められていることが大事
企業全体のベクトルの方向性を一致させること
経営理念→中期計画→年度方針→達成していくための仕事→行動・実績が評価され、給料が決まる
経営理念に基づいて、予算や評価・分配にまで一貫した思想で貫かれていて、一般社員にまでよく理解されていればいるほど、この善循環システムはうまく機能する。
魅力ある会社づくりとは?
優秀な人材を確保し、今後、自社の成長につながるような人材基盤を固めるにあたって、まずこれらのポイントが自社に備わっているか、見直してみよう!
1.経営者自身に魅力がある
経営者の魅力は何かと言えば、「若さ」「夢」「情熱」である。ここでいう若さは暦年齢ではなく、精神年齢である。目はキラキラと輝き、発言する言葉からは夢や情熱がほとばしるような人である。中小企業は社長自ら応募者に夢を語り、共に夢の実現に向かって働きたい人たちを採用することだ。
2.会社に将来性がある
現状は増収増益であっても、これは過去に打った手の結果である。将来に対しての先行開発投資(人材・商品・事業)を、どの程度行っているかで将来性は決まる。常に成長している会社は、売上げに対して5%~10%の先行開発投資をしている。
3.労働条件が整備されている
4.経営に参画できる
創業期の経営はトップダウン型・ワンマン経営が多いが、2代目、3代目の経営スタイルはミドルアップ型やボトムアップ型の方がうまく経営できる。経営に計画段階から参加することで、社員のやる気を向上させることができる。
5.自分の能力開発ができる
能力アップができない会社では、退職者が続出している。社内教育・社外教育・海外視察などを通して自己啓発、レベルアップができる会社は、社員のやる気も向上し、魅力ある会社にもなる。
語り継ぐ経営とは?見える化の勧め
年商30億円を超え、さらには事業承継が迫っているのであれば、社長の思いを語り継げる価値判断基準の伝承とそのための体系化・落とし込みが欠かせない。
経営執行の判断基準の棚卸し。自社の経営において、外してはならないカン・コツ・ツボ。社会に対する約束。人事憲章とも言うべき社員に対する思い。重点・集中・徹底の判断基準。危機管理のための超えてはいけない喫水線バランス。経営哲学はもとより理念の真の意味と行動基準。
「語り継ぐ経営」の具体的な内容
1.経営戦略の判断基準の棚卸し 2.経営執行の判断基準の棚卸し 3.業務判断フロー 4.自社の強みの分析 5.成長過程・成長要因分析 6.自社の固有技術とそれをぶつける成長マーケットの模索 7.未来指標(社会性・開発力・革新性・基盤安定度・危機回避力) 8.ビジョン体系 9.中期経営計画 10.人事憲章
これがそのまま経営風土改革の礎になる。要は、価値判断基準の「見える化」である。
基本動作の重要性を再認識するとは?
「なぜ基本動作が大切なのか」 「なぜ挨拶や言葉づかい、ビジネスマナーが大切なのか」 「なぜ掃除や2S(整理・整頓)が大切なのか」 ということを真に理解し、実践していこう!
いわゆる基本動作とは、
- すべての仕事に共通する基礎
- 磨き抜かれた基本動作は企業信用を高めるもの
- 頭で理解するのではなく、習慣として身に付けるもの
- 永い間の熟練のエキスとして型決めされ、定着したもの
何のためにするのか、という目的がきちんと認識されていないため、何となく形だけまねている
基本動作がなぜ大切なのかというと、「人は1人では生きていけない。生きていくために必要不可欠なもの」であり、「人が他人(=社会)の評価と認知を受けるためのもの」だからではないだろうか。
基本の大切さ、当たり前のことを当たり前にする大切さを再認識し、実践していただきたい。
投資内容を分析するとは?
企業が存続、成長発展するには常に
★今までのやり方を廃止・改善
★新しい構築
を行い環境変化に対応していかねばならない
改善や新しい試みをする「投資」の分類
1.業績(事業)拡大投資
本業や新事業を拡大していく投資。生産力を高める設備投資、営業力を高める営業拠点開設、人材補強など成長するために必要な投資。
2.現状維持(メンテナンス)投資
機械が正常通り動くようにする、古くなった車両を買い換えるなど、現状の業績を確保するために必要となる固定資産にかける投資。
3.コストダウン投資
作業性を高める機械導入、使用量を削減する備品購入などムダ・ムリ・ムラをなくすための経費削減・生産性向上に必要な投資。
4.コンプライアンス投資
品質管理システムなどの企業生命線管理、社会的責任を果たすための投資。
5.フレンドシップ投資
本業での収益は生まないが付き合いやしがらみといった社交的な投資。
自社の投資はどの分類に分かれ、成果に結びついているだろうか。
いずれにせよ、かけた投資コストを回収することが基本だ。
- どれだけの利益が年間出るのか
- 効率改善により年間で経費をいくら削減できるのか
- いつから利益が出るのか
- シナジー効果はいくらあるのか
以上を考慮し、中長期で計画を立てる。
つまり、投資することにより自社の業績・風土がどう変わるのかを押さえることが重要なのである。
"聞く"スキルを磨くとは?
ただ単に部下の声に耳を傾けろということではなく、相手の立場に立った"聞く"技術を身につけていただきたい。 以下はある会社で、事業収支計画書を作成したB課長が、直属の上司であるA常務に提出したときの会話である。
- A常務「君はこの収支計画をどう思う?」
- B課長「ええ、これでチーム一丸となって頑張っていこうと思います」
- A常務「いやもちろん頑張ってもらわないと困るんだが・・・どうなんだ?」
- B課長「ど、どうと申しますと・・・。恐らく大丈夫だと思いますが。」
- A常務「そういうことを聞いているのではないんだ!しっかりと答えてくれないとこちらとしても承認を出せないよ。全く・・・もう一度見直してくれ。」
何をどう答えて良いかわからない聞き方をしておきながら、B課長が答えに詰まっていることにA常務は苛立ちを隠せないでいる。A常務のように「どうなんだ?」が口ぐせのようになっている人は多い。
相手が答えを絞りにくい曖昧な質問をしていることに気付かないまま、相手に明確な答えを示すように強制している矛盾に気付く必要がある。
別の事例を紹介しよう。ある営業会議での会話である。
C部長「この件について、何か意見は?」「誰も発言はないのか?」
「常日頃から、問題意識を高く持てと言ってるじゃないか!」
果たして、参加者の問題意識が本当に低いのであろうか?C部長が活発な意見が出るのを妨げ、誰も口を開けないようにしている可能性はゼロであろうか?さらに腕を組み、しかめっ面をした状態で言われたならどうであろうか?
- ただでさえ上司にはものを言いにくい
- その上、まるで責めるような口調で質問されたら威圧感を感じる
- 「私の意見はピントが外れていたらどうしよう」
- 「下手に口を開いたら怒鳴られるだけだ。ここは黙って誰かが発言するのを待とう」と、発言に対して消極的な態度になってしまう
- 自分の意見がC部長によって採点され、評価されることを恐れる
聞き方しだいでは、あなたのリーダーシップを発揮する上での能力が測られる。部下の姿勢を正す前に自らの"聞く"姿勢を正していただきたい。
心技体のバランスとは?
企業生活における「心技体バランス」の指針
1.心・・・
目的を明確に持ち、迷いなく邁進できるテーマを設定できているか。人生と仕事の接点、業績向上と個人の幸せ目標のリンケージ。組織としてメンバーが関心を持ち、集中できるビジョン・方針・目標の設計。
2.技・・・
仕事の基本「ハタラキヤスク・ハタラク」(早く・速く、正しく、楽に、キレイに、安く、そしてハタを楽にする)の体得と、ストレスを溜めない十分なコミュニケーションの促進。そして明るくリラックスして取り組める権限委譲とチームワーク風土づくり。
3.体・・・
経営意識の高い幹部になろう
「企業の寿命は30年」と言われるように会社は潰れるように出来ているものであり、努力、工夫を怠らず管理をしなければ、継続発展できるものではない。トップとベクトルを合わせ、しっかりと築いていく人が幹部である。
1.トップと方向感覚を合わせる
トップならどう考え、どう判断するのか。なぜトップはそう考え判断したのか、掘り下げて考える習慣をつける。
2.ワンランク上の仕事をする
ワンランク上の仕事をするためには、自分の仕事を部下に任せないとオーバーワークとなってしまう。ワンランク上の仕事が出来ない幹部の共通点は、自分で仕事を抱え込んでしまうことである。
3.戦略発想を鍛える
トップとベクトルを合わせ、重点を絞り込み、やるべき事を明確にする。NOW(今の責任を果しながら)・NEXT(次の手を打ち)・NEW(将来を考える)が大切である。
4.バランス感覚を養う
経営バランスが崩れると破綻してしまう。そうかと言って、バランスをとったままでは成長できない。あえてバランスを崩し、いかに大きくバランスさせるか。その復元力が大切である。
- 攻めと守り(売上と利益、利益と経費、資産と負債資本のバランス)
- 環境変化(市場・需要・ライバル動向と自社のバランス)
- 時間(将来ビジョンと現実のバランス)
- 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報の効率的なバランス)