対銀行のノウハウ

銀行から融資を受ける場合

定期預金の開設、定期預金の担保を勧められることがあります。
当然ですが、担保にされた定期預金は自由に使うことができません。

資金繰りが厳しいから融資を受けているのです。
その1部が担保になり、自由に使えないのでは意味がないのです。
預金と融資の両建ては損になります。たとえば、

  • 担保になっている定期預金・・・5,000万円(金利0.5%)
  • 融資を受けた額・・・1億円(金利5%)としましょう。これを相殺すると、下記となります。

(金利)1億円×5%-5,000万円×0.5%=475万円
(元金)1億円-5,000万円=5,000万円 ということは、
「475万円÷5,000万円=9.5%」となり、
【本当の金利】は9.5%となるのです。

あくまでも、資金繰りが厳しく、過当な両建預金があるならば、「金融庁の監督指針を根拠にし、銀行ときちんと交渉してください」

銀行にとって、金融庁の検査は非常に嫌なものなのです。 あくまでもケンカをするのではなく、主導権を取り、交渉することが大切です。
しかし、一般的な中小企業の場合、銀行に主導権を取られていることがよくあります。 銀行は返済されては業績に影響します。だから、中小企業側が「本当は主導権を取れる」ケースもあるのです。

会社が借りている本当の利息とは

※会社に充分な預金があっても、金融機関の営業により借入れを検討する場合もあります。
このような場合、「借りるべきか、借りないべきか」の判断する場合

「借りるべきか、借りないべきか」という判断はケースバイケースです。
だから、明確な結論はありません。
しかし覚えておいて下さい。
借入れの判断をすべき時に非常に重要な考え方があります。
具体例で考えましょう。

  1. 会社にある定期預金 5千万円(利率0.5%)→ 1年間の受取利息は、5千万円×0.5%=25万円
  2. 金融機関から借りた借入金 1億円(利率5%)→ 1年間の支払利息は、1億円×5%=500万円
    これを相殺し、【実質的な利息】を計算すると・・・。
    (500万円-25万円)÷(1億円-5千万円)×100=【9.5%】
    つまり、【実質的な支払利息の利率】は【9.5%】だったのです。
    もちろん、契約書に記載された金利は【5%】です。

預金と借入金は両建てになっていますか?なっていてもOKですが、そのバランスは大丈夫ですか?
必要以上の資金は借りず、自己資金で回して下さいね。

事業計画書で自社の返済能力をアピール

事業計画書は、言わずもがな、融資審査においての強力な材料となります。

銀行が融資を出したい企業。それは、返済をしてくれる企業です。
この原則をいかに経営者が意識して、自社がしっかり返済できる企業であることを、銀行に伝えることができるかがポイント。

自分の会社は、融資を銀行にしっかり返済できる企業である、ということを銀行にアピールするために、一番良い資料が
事業計画書です。

多少は赤字であったとしても、事業計画書により今後、どう利益を出し、利益から現金が生み出され、それにより返済していける、ということを銀行に伝えます。

事業計画書に必ず入れるものは

  • むこう3~5年の損益計画(年次・月次)
  • 資金繰り計画(月次)、つまり予定資金繰り表も入れましょう。

中小企業のほとんどは、キャッシュフロー、つまり事業によって年間生み出される現金収入より、年間に返済する金額の方が上回ります。

「取引している銀行から融資を受けられる体制はできているよ」

ということを事業計画書に盛り込むことができれば、自分の会社は銀行にしっかり返済できる企業である、ということを銀行に伝えることができます。

事業計画書に銀行別の融資スタンスを入れる

例えば、3つの銀行と取引している企業、としましょう。
事業計画書には、3つの銀行別に、次の2つのことを書きます。
1.各銀行の自社に対する融資のスタンス

「銀行から積極的に融資の提案がある。」「銀行が過去のピークまではいつでも出しますよと言ってきている。」というように、銀行が自社に対し、どのような融資のスタンスなのか、銀行は融資についてどのように言ってきているのか、ということを書きます。

2.各銀行の融資のペース(過去数年の融資の時期と金額)

2009年3月 1,500万円(3年返済)実行
2009年9月 2,000万円(3年返済)実行
2010年2月 1,200万円(3年返済)実行
というように、過去数年、銀行ごとに、どのようなペースで融資が出てきたか、を書きます。

※これらを表にして、書くことにより、事業計画書の中で、自分の会社は各銀行から資金調達できる力がある企業である、ということを伝えることができます。

  • また事業計画書における予定資金繰り表の中に、いつの時期にどの銀行に、いくらの融資を受けるつもりだ、ということを書いておきます。
  • また事業計画書を提出する銀行に対し、いつにいくらの融資を見込んでいてほしい、ということを書いておきます。
  • 事業計画書を銀行に対して提出するのは、銀行から融資を受けやすくする ことが第一の目的です。不利になるようなことであったら、書かない方がよいです。

要は、事業計画書の見せ方です。
返済がしっかりできる企業だよ、ということを銀行にどう印象づけるか、です。

銀行から聞かれたことのないことを聞かれた場合

中小企業経営者の方からご相談いただいていて、よく質問されるのが、「融資を受けている銀行からこんなことを聞かれたんだけど、銀行は何を意図しているのか?」

例えば、今まで言われたことがないのに、次のようなことを銀行から言われた場合、

  • 最近の試算表を提出してほしい。
    融資先の最近の業況チェックのために、銀行は融資先企業から、定期的に試算表の提出を受けてそれをチェックしようとします。 試算表を今まで提出していないのであれば、その方が珍しいことなのです。
    融資を受けている銀行に対して、銀行から言われなくても試算表を出すと、銀行からの信頼は高まることでしょう。
  • 他銀行の借入明細を見せてほしい。
    他行がどのように融資をしているのかを見ることは、銀行員にとっては基本中の基本と言えるぐらい、重要なことです。 他行は融資を絞ってきているのか、もしくは他行は積極的なのか。
    他行が積極的に融資を出しているのならまだしも、融資を絞ってきているのなら、その企業の資金繰りは厳しい方向に向かい、要警戒、ということになります。
    他行の借入明細はどうなのか、時系列で見てどうなのかは、銀行が融資先企業に、当たり前に聞くことなのです。

経営者としては「銀行は何を考えているのだろうか・・・」と、疑心暗鬼になってしまいがちですが、たいていの場合は、銀行が知っておくべき、当たり前のことを聞いているだけ、ということです。 不安に思わないで、正々堂々と答えましょう。

将来性を見て融資

いつも思うのですが、売上を右肩上がりに伸ばしていける経営者の特徴は、売り方を知っている、ということです。
私が経営者と話をすると、タイプが次の2つに分かれますが、

  1. 自社を語るとき、商品やサービスの素晴らしさ、技術力の素晴らしさを中心に語る経営者。
  2. 自社を語るとき、商品やサービスをどうやって売っていっていくか、を中心に語る経営者。

1のタイプの経営者は、たいてい売上は上がっていません。横ばいか減少傾向であることがほとんどです。
一方、2のタイプの経営者は、高い確率で、売上が増加傾向です。

経営者が、1のタイプか、2のタイプかは、日頃経営者が、何を重視しているか、によります。
商品やサービスが素晴らしくても、売る力がなければ、なんともなりません。
あなたの会社が売上を増加させていきたいのであれば、経営者としては、2のパターンとなるべきです。
将来性がある企業は、商品やサービスが素晴らしい、というよりも、売る力ある企業です。

銀行に将来性のある企業と思わせるには?
自社が右肩上がりで売上が増えてきている、ということをアピール。
右肩上がりでないなら、決算書が良い、という内容でアピールするしかありません。

おすすめの記事